4月1日(火)公開

『V.MARIA』試写。

突然母親を亡くした主人公が、遺品を整理していて母が元バンギャだったと知り、母の愛したV系カルチャーを知ることに……喪失に等身大で向き合うスケール感や、V系という文化に関わる人々へ向ける暖かい視線が好ましく、SUGIZOの音楽の力もあって驚くほど終盤でもっていかれた。よかったです。

主人公は自分がどうするべきかをなんとなく理解していて、それに向かって動き続ける。人物たちの距離感を長めの引きのショット内の配置で提示しつつ、彼女が最終的にどう動くかというあたりに収束する語りのうまさ。まさかのあの目黒鹿鳴館などで撮影されたライブシーンも迫力たっぷり。

2020年代の子が90年代(V系黄金期)を「再発見」するということで、いろんなメディア媒体が出てくるのが面白かったし、バンギャのファッションの変遷が織り込まれているのも楽しかった。夜の風景がちゃんと暗くて、落ち着いた画調だったのも良い。

劇中歌&劇伴はSUGIZOで、LUNA SEAなどのセルフカバーも交えているので曲が良すぎるし、歌う役者さんのパフォーマンスもとてもドラマチックなもので、音楽映画として求められるポイントを軽々クリアしていた。終盤の編集のさりげないエモーショナルさが本当に好きでした。

『V.MARIA』ポスター
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