『「何かを“政治的”と称して別物と見做すことは、それについて考えずにおくための弁解に過ぎない」とヴィッキーは1979年12月に語った。『ザ・レインコーツ』はまるまる一枚がレジスタンス行為だ。「パーソナルはポリティカル」の気風と謳い文句が60年代と70年代により幅広く取り入れられたのにしたがい、レインコーツはその発想を拡張し、自身の楽曲のなかにさりげなくパーソナル性を明かしていった。アナは『NME』にこう語った。
 
 わたしたちはラヴ・ソングを書くと言われてきたし、それは伝統的に女性が取り上げる題材だ、愛と感情は女性的な題材であると言われてきた。それと同時に、わたしたちは人々に政治を押し付けていると非難されてもきた。わたしが言いたいのは、わたしたちの曲の扱い方からすれば、それらふたつは別個なものではないということだ。わたしたちには「愛の」歌も「政治的な」歌もなく、人々についての歌があるだけ。その人間が人生のなかで起こす行動はなんであれ政治的だとわたしは思う。(中略)』

ジェン・ベリー/坂本麻里子訳『ザ・レインコーツ 普通の女たちの静かなポスト・パンク革命』より [参照]

『ザ・レインコーツ 普通の女たちの静かなポスト・パンク革命』は1979年、パンクーフェミニズムのコミュニティがなかったころ、自らをフェミニスト集団と称して登場した最初のバンド『レインコーツ』のファーストアルバム誕生秘話を描いた一冊。二人の移民のメンバーを擁し、スクウォッターとして空き家で共同生活を送りながらのバンド生活、当時の男性中心メディアからの酷評の中それでも前進し続けたバンドの在りようはめちゃくちゃにカッコいい!私は90年代のカート・コバーンによるレインコーツ再発見、ライオット・ガールムーブメントの中で再び脚光を浴びたころにこのバンドを知って、3枚目の『Moving』というアルバムを愛聴していたのですが、これを読んでファーストアルバムを聴くとその先見性とドタバタした祝祭のような演奏に心打たれます。今YouTubeで当時の演奏が見られるのが本当にありがたい。これを読むと音楽と政治に関わりがないなんて言ってられない、性暴力に対するプロテスト・ソングも含むファーストアルバムと共にお薦めしたい1冊です。

youtube.com/watch?si=7H_bddid4

0

If you have a fediverse account, you can quote this note from your own instance. Search https://fedibird.com/users/Django37564/statuses/115989238363631559 on your instance and quote it. (Note that quoting is not supported in Mastodon.)