藤野裕子『民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代』読了
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2020/08/102605.html
あまりにカッコいい書名なので(?)手に取ったのだが、内容はもっとすごかった。
明治初期から関東大震災までの時期に起きた、民衆による大規模な暴力行動を軸として日本の近代史を解説するもの。一見「反権力」的に見える事件と、関東大震災時の朝鮮人虐殺をあえて分けずに「民衆暴力」と呼ぶことによって、反権力的に見える暴力行為にも実際は多様なメンバーが多様な動機で参加していたことを解き明かしているのが特徴。
朝鮮人虐殺については二章に渡って取り上げ、背景となった社会状況と、加害者たちが暴力行為に至る心理的な背景を解説している。
在郷軍人会や青年団が国家に認められた民間暴力組織として地域に根差していた点、三一運動以降、朝鮮人民の反撃に対する潜在的な"恐怖"が統治機構側に広がっていた点、自警団に参加した男たちのマチズモ、義侠心文化、そして暴力行為を行うことによって残虐さが加熱していく点など、目から鱗が500枚は落ちる内容。これは必読書ですね。
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