柚月裕子『孤狼の血』を読んだ感想

:jm_book: 柚月裕子『孤狼の血』(角川文庫)
先に映画を少し見たせいでざっくりとした内容は知っている状態だったけれど、特に影響はなく充分面白かった!
広島を牛耳る暴力団と悪徳警官の譲れない戦いを描いた警察小説。
なんとなく平成の話かなと思い込んでいたので、昭和の終わり頃の話だったことには驚いた。暴力団対策法が施行される前だからこういう内容なのだなと納得。

ベテランで凄腕のマル暴刑事と、新人刑事のコンビが魅力的だった。読み始めてすぐ、これは良いコンビだ!と好きになった。
どんな捜査や指導をしているかというと違法行為の連発で本当にひどいものだったけれど、新人刑事が真面目で優秀なのであまりストレスがなかった。何も知らない新人刑事目線で無理なく、この恐るべきヤクザの世界に足を踏み入れていく体験ができる。

実際はどうなのかは知らないけれど、敵対する組同士の小競り合いや起こる事件に現実味があって圧倒される。こういうの本当にありそう、と思ってしまう説得力があった。

県下最大の暴力団という設定なので登場人物が本当に多くて、その系列の組や関係先、敵対する組などを含めると相関図がどんどん複雑になっていく。
警察のほうも役職や派閥や上下関係が複雑。そしてヤクザとやり合うには尋常な手段ばかりでは目標を達成できず、どんどん近寄っていくことになる。正義側ではあってもどこか類似するものを感じるつくりになっていた。
違法な捜査を見てそれはダメでしょ!と思う反面、こうでもしないと逮捕できないと思う気持ちもあり、悪徳警官に肩入れしてしまう自分がいる。人情を感じる小説だったな。

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