昨夜、友人宅にお邪魔して「半七捕物帳」のドラマを見せてもらったので青空文庫で原作と比較検証。
「槍突き」という、文化・文政期(1804~1830年)を舞台にしたいわば通り魔事件。
犯行動機が興味深くて、ドラマでは先日高田馬場で起きた刺殺事件のような「貢いだ女に裏切られ」パターンにしていたが、原作は更に不気味で、現在の山梨県丹波山村出身で時折り猪などの肉を売りに江戸に出てくる猟師が圧倒的な豊かさを目の当たりにして「街」そのものへの憎悪を募らせ、反撃の可能性の低い女性を主な標的にして竹槍で突きまくった、というもの。しかも文化期の犯行は兄、文政期のそれは弟と槍突きが継承されており、しかも犯人は詮議にハキハキと答える。自分でも殺意を説明できないと開き直っているのが恐ろしい。

「半七捕物帳」は何しろ作者の岡本綺堂が元本職の目明かしに取材した作品なので江戸後期から末期にかけての文化風俗など込みで情報量が多い。話は一つが短めなので入浴のお供にちょうどいい。
ちなみに話の導入部として明治20年代に女性の顔を切る通り魔の話が枕になっている。
いつの時代も…。

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