おもしろいな
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「現代の国語」で小説を掲載した社が増えた背景にあるのは、前回の検定時に起きた「羅生門」などの小説をめぐる騒動だ。
文科省は高校の国語の授業について、「文学作品の読解に偏りすぎる」として、今の学習指導要領では実社会で生きる力を重視。「国語総合」を分割して、報告書や法令、契約書など実用文を扱う「現代の国語」を新設し、小説は古典や漢文とともに「言語文化」で扱うとした。
複数の教科書会社は「(文科省は)『現代の国語には小説が入る余地がない』と言った」と口をそろえる。このため、多くの社が小説の掲載を断念。盛り込んでも補足的な位置づけで申請した。
ところが検定で「羅生門」など5作品を扱った第一学習社が合格したことが判明し、各社からは「文科省は二枚舌だ」「正直者が馬鹿を見た」との怒りの声が渦巻いた。
教科用図書検定調査審議会の国語小委員会が2021年8月、異例の文書を発表。「小説が盛り込まれることは本来想定されていない」が、「文学作品を掲載することが一切禁じられている訳ではない」と帳尻を合わせた形だ。
結果的に、初年度の採用冊数は第一学習社版が最大手の東京書籍版を抑えてトップになった。国語小委員会は「今後は一層厳正な審査を行う」ともしていたが、そんな経緯もあり、各社は今回、巻き返しを図っていた。不合格になれば教科書が出せずコストが回収できなくなる恐れはあるが、多くの社が「チャレンジするしかない」と話していた。
https://digital.asahi.com/articles/AST4K2W8VT4KUTIL00VM.html
