リチャード・ローティ「連帯としての科学」を読んでいた。ローティはここで、対象を正しく記述しえたものが真理であるという実証主義的発想を批判して、一種の合意論を提案する。「客観性の観念を「強制によらない合意 unforced agreement」の観念と取り替えることである」(p.9)。「強制によらない合意」とは要するに、共同体のメンバー間の「合意」を得たものが「とりあえずの真理」である、ということだ。ある種の共同体の理想——共同体が表現している生き方——を超えるような「客観的真理」なるものは存在しない。それがリミットであって、その共同体の価値判断を他の共同体の価値判断より優越していると正当化できる「基礎づけ」は存在しないのだ、と。ゆえに、真理による強制は不可能であり、結局のところ「合意」するかどうかということになる。

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