あの女さえいなければ。
生涯の道連れを得ることができた。なおすきと、土の中で永遠の同衾を果たすことができる、はずだった。
なおすきは突如かの女との交際を宣言した。青天の霹靂であった。私は何も聞いていないし、あれだけ重ねた逢瀬の最中にもいかなる素振りもしていなかった。なおすきは、ににかと恒久の契りを結んだ。その事実は、私の躰が心を手放すには十分過ぎるほどの理由となった。
連絡しても、メールをしても、返事はない。どれだけ私が言葉を尽くしても、なおすきにはもう届かない。棄てられた。私の存在が揮発したのだ、そう確信するのに時間はかからなかった。なおすきの中で、私は初めから存在していないこととなった。
どうして。どうして。どうして。
全て嘘だったのか。私の臀をあれだけ激しく犯し尽くしたなおすきは、全て戯れだったのか。
かの女への憎しみが、私の腹から産声をあげた。奪われたのだ。すべてあの間女が悪いのだ。周囲の祝福の声と逆行するように、仄暗い感情がうねりをあげ、私の心を喰い尽くした。
必ず報いを受けさせる。なおすきを再び振り向かせてみせる。漆黒の覚悟を胸に、破滅しか待ち受けていない地獄への道を突き進む。
私はなおすきなしでは生きられない。
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交流サイトで知り合ったヒトと、交際を始めた。彼のアカウント名はなおすき。普段は真面目な好青年ではあるが、ひとたびサイトに行くと下品な性格に早変わりする、そんな可愛らしい二面性から、サイト内で絶大な指示を集めている。
交際を始めてから、支離滅裂なアカウントに粘着される機会が増えた。「間女」、「お前を殺して私も死ぬ」、「絶対に許さない」など、ダイレクトメッセージで繰り返し中傷された。なおすき過去に何かしたのか?
彼に何か心当たりがないか相談したことがある。彼は頭を掻きながら答えた。「精神が蝕まれた、可哀想な人だ。ブロック、通報をして欲しい。世話をかけて申し訳ない。」
なおすきが滔々と背景について語ってくれた。曰く、サイト上で知り合って間もない頃に、戯れにゲイカップルロールプレイをしていたようだ。初めはただ巫山戯あっていただけであったが、相手が自分のロールに蝕まれてしまい、人格が分裂してしまったようだ。
「こんなことになってしまうとは思わなかった。悔やんでも悔やみきれない。彼はもう誰にも救えない。ただただ交流を避けるしか僕らにできることがなくなってしまった…。」
元々の相手は、ノンケで、既婚者で、安定した収入のある真人間であったようだ。人格が分裂してから彼の私生活がどう転がり落ちて行ったのか、想像に難くない。
しかし、彼のような赤の他人などどうすることも出来ないし、普通に気味が悪いので、彼の指示通り通報、ブロックをして一切の交流を絶った。
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