Emacsの王国には、あらゆるテキスト処理と拡張機能がとどめられていた。Emacsの栄華は、いまを去る二十年ほど前に衰えはじめ、現在では新興テキストエディタやIDEが勢いを増す中で、かろうじて生きながらえているにすぎない。Emacs Lispがもはや力を持たぬのならば、それらいっさいを否定し、宿命から逃れうるのではないか。しかし古くからEmacsに親しんできた者の多くは、そうは思うまい。いまや悲劇の幕が開く。その終焉までには多くの歳月を要し、さらにはテキストエディタの滅亡を引きよせることになるであろう悲劇が。